LIFE FIT DATA 18 / 食・健康

肉好きな県ほど太っている?
支出・摂取量・BMIを分ける

肉をよく食べる地域は太っている人も多そうです。 でも、肉に使った金額と実際に食べた量、BMIはそれぞれ別の数字。そこを一つにすると話が雑になります。

公開日:2026年9月19日 更新日:2026年9月26日
まず、ここだけ「肉好き県」と肥満を県ランキングで直結させるのは難しいです。

金額・量・体格を分けて見る必要があります。

結論「肉好き県ほど太る」は、今ある公的データでは県別にきれいに比べられません。BMIは47都道府県別ですが、肉を実際に食べた量は12地域ブロックまで。都市別の肉代を代わりに使うと、値段の差まで混ざってしまいます。
公的データの粒度

BMIは47県、肉の摂取量は12地域。数が合わない

同じ2024年でも、比較単位がそろっていません。

BMI / 体格47都道府県

男女別・年齢調整済み。

MEAT / 肉類摂取12地域ブロック

総数の食品群摂取量。

都市別の肉支出まで混ぜると、さらに地域単位と指標の意味がずれます。

BMIの県差は、たしかにある

厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」の年齢調整値では、男性BMIの全国平均は23.9、女性22.3でした。

2024年 年齢調整済みBMI

全国:男性23.9 / 女性22.3
岩手:24.9 / 23.0
沖縄:24.8 / 23.3
大阪:23.3 / 21.2

地域差はあります。ただし、この差の原因を肉だけに割り当てることはできません。

肉の「実摂取量」も公的統計にある。でも12地域ブロック

2024年国民健康・栄養調査の第6表には、肉類、魚介類、野菜類などの1日摂取量が掲載されています。

ただし地域区分は47都道府県ではなく、北海道、東北、関東Ⅰ、関東Ⅱ、北陸、東海、近畿Ⅰ、近畿Ⅱ、中国、四国、北九州、南九州の12ブロックです。

2024年 公的データの粒度

BMI:47都道府県別・男女別・年齢調整値
肉類摂取量:12地域ブロック別・総数
家計の肉支出:都道府県庁所在市・政令指定都市

同じ2024年でも、地理単位と年齢調整がそろっていません。

肉代ランキングで代用すると、値段まで混ざる

家計調査なら牛肉・豚肉・鶏肉の都市別支出を比べられます。しかし支出額には、価格、ブランド肉、贈答、世帯人数が混ざります。

1万円使ったから、1万円分のカロリーを本人が食べたわけでもありません。

「計算できる」と「比較してよい」は別

都市の肉支出と県のBMIを表計算で結合することはできます。でも、統計の意味が違うので、その相関係数は見栄えほど強い証拠になりません。

個人研究では、赤肉・加工肉と肥満の関連を示す報告もある

21研究をまとめた観察研究のメタ解析では、赤肉・加工肉の摂取量が多い群で肥満のオッズが高く、統合ORは1.37でした。

観察研究メタ解析

対象:21研究
肥満との統合OR:1.37
95%信頼区間:1.14〜1.64

ただし研究間のばらつきは大きく、観察研究です。「肉を食べれば1.37倍太る」という因果効果ではありません。

牛肉、豚肉、加工肉。全部「肉」でまとめるのも粗い

赤肉、加工肉、鶏肉、脂身の少ない肉では脂質やエネルギー密度が違います。調理方法も、焼く、揚げる、煮るで変わります。

日本人の研究でも、肉の種類や性別によって健康アウトカムとの関連が違う報告があります。

たとえばJPHC研究では赤肉摂取と2型糖尿病リスクの正の関連が男性でみられた一方、女性ではみられませんでした。2024年の日本人労働者研究では、肉摂取と2型糖尿病の明確な関連はみられていません。

肥満そのものの研究ではありませんが、「肉」という一語で健康影響を決める危うさは分かります。

太るかどうかは、肉だけでは決まらない

体重は長期的には摂取と消費のバランスで変わります。肉を食べても総摂取エネルギーが適切で活動量が多ければ、必ず肥満になるわけではありません。

逆に肉が少なくても、菓子、酒、清涼飲料、総エネルギーが多く、身体活動が少なければ体重は増え得ます。

車利用、歩数、仕事の身体活動なども地域のBMI差と同時に動きます。

焼肉文化があることと、肥満の原因は別

牛肉文化、豚肉文化、焼肉文化には地域差があります。これは街の食生活を知る面白い特徴です。

でも「肉文化が強い県だから太っている」と健康ラベルへ変えると、食事全体や活動量が消えます。

地域文化としての肉と、個人の肥満リスクは別の問いとして扱うほうが正確です。

本当に検証するなら、同じ人の食事と体重を追う

欲しい分析

肉:種類別の実摂取量
体格:BMI・腹囲の変化
調整:総エネルギー、運動、酒、喫煙、年齢
追跡:数年間の体重変化

これなら「肉を多く食べる人ほど、その後体重が増えるか」を直接検証できます。県の家計支出より問いに近い設計です。

どう検証した?

厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」で、BMIは都道府県別、食品群摂取量は12地域ブロック別で公表されていることを確認しました。総務省家計調査の肉類支出は都市別のため、県BMIとの相関には使用していません。補助的に、赤肉・加工肉と肥満の観察研究メタ解析、日本人を対象とした肉摂取と代謝疾患の研究を確認しました。

確認した資料

判定:県別肉摂取量と県別BMIが同じ設計で揃わないため、「肉好き県ほど太る」という47都道府県相関は作りません。個人レベルでは肉の種類や食事全体を含めて評価する必要があります。

肉をよく食べる街。それだけで「太りやすい街」にはしない。

食文化と、歩きやすさや医療環境は分けて見たほうが、暮らしの実態に近づきます。

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