LIFE FIT DATA 46 / 災害・街選び

「災害が少ない県」はある?
県ランキングではなく住所で見る

「災害が少ない県ランキング」は分かりやすいですが、実際の安全は県単位では決まりません。 洪水に強い場所と津波に強い場所、地震で揺れにくい場所は同じとは限らず、同じ県の中でも数kmで条件が変わります。

公開日:2026年9月19日 更新日:2026年9月26日
まず、ここだけ災害リスクは県名より住所で見たほうが正確です。

洪水・土砂・津波・地震を一つの点数にまとめすぎないことが大切です。

結論「災害が最も少ない県」を1つの公的指標で決めることはできません。洪水、土砂、高潮、津波は別々のリスクです。地震も東京都内だけで、今後30年に震度6弱以上となる確率が地点によって約30〜50%まで違います。
J-SHIS・30年以内の震度6弱以上確率

同じ東京都内でも、約20ポイント違う

「災害に安全な県」より、住所単位で見るほうが実用的です。

渋谷1丁目50.5%
丸の内2丁目43.7%
立川・泉町30.3%

2024年版J-SHISの約250mメッシュ。予測ではなく確率評価で、地盤や震源モデルに基づきます。

国のハザードマップも、災害を一つにまとめていない

国土交通省・国土地理院の「重ねるハザードマップ」は、洪水・内水、土砂災害、高潮、津波などを別の情報として重ねて確認する仕組みです。

これは不便だから分かれているのではありません。危険になる仕組みが違うからです。川があふれる場所、急傾斜地、海から浸水する場所では、見るべき地形も想定も違います。

住所で重ねて確認できる主なリスク

洪水・内水:河川氾濫や雨水による浸水
土砂災害:急傾斜地・土石流など
高潮:台風などによる海面上昇
津波:地震に伴う浸水

「災害リスク」という一つの点数へ潰す前に、まず種類を分ける必要があります。

地震も、同じ東京都内で数字が違う

防災科学技術研究所のJ-SHIS「地震ハザードカルテ」2024年基準では、約250mメッシュ単位で地震の揺れやすさなどを確認できます。

今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を見ると、東京都千代田区丸の内2丁目付近は43.7%、渋谷区渋谷1丁目付近は50.5%、立川市泉町付近は30.3%でした。

J-SHIS 2024年基準・今後30年に震度6弱以上

丸の内2丁目付近:43.7%
渋谷1丁目付近:50.5%
立川市泉町付近:30.3%

全部「東京都」です。それでも約20ポイントの幅があります。県の名前だけで地震リスクを代表させるのが粗いことが分かります。

これは地震の「予言」ではない

J-SHISの値は、将来の揺れについて確率論的に評価したハザード情報です。「30年以内に必ず起きる」「この地点で地震が発生する日が分かる」という意味ではありません。

海から遠ければ安全? 今度は川と斜面を見る

海から離れれば津波や高潮の心配は減らせます。しかし川沿いなら洪水、低地なら内水氾濫、山際なら土砂災害が前に出ることがあります。

逆に海沿いでも高台なら津波浸水想定の外になる地点があります。同じ市内でも、川の反対側、坂の上と下、数駅の違いで重なるハザードが変わります。

だから「海なし県だから安全」「地震が少ない県だから安全」のように一種類の災害から総合結論を出すと、別の弱点を見落とします。

過去の被害件数が少ない県=将来も安全、でもない

過去10年の死者数や被害額をランキングすれば、数字そのものは作れます。でも、それは「その期間に何が起きたか」であって、低頻度の大災害が今後起きないことを保証しません。

さらに、同じ自然現象でも、堤防、耐震化、避難施設、人口密度、建物の構造によって被害は変わります。ハザードの大きさと、実際の被害の大きさも同じではありません。

過去被害ランキングを「未来の安全県ランキング」と読み替えないことが重要です。

災害を見るなら、県より候補住所から始める

災害だけで住む県を決める必要はありません。候補地が出てから、住所ごとに弱点を確認するほうが実用的です。

たとえば候補物件なら、まず洪水・内水、土砂、高潮・津波を重ねる。次にJ-SHISで地震の揺れやすさを見る。さらに避難所までの経路や、その途中に川・崖がないかを確認します。

住む場所で見る順番

1:候補住所を決める
2:洪水・内水・土砂・高潮・津波を重ねる
3:地震の揺れやすさ・地盤を見る
4:避難所と避難経路を確認する
5:重なる弱点が少ない地点を比較する

「危険ゼロ」ではなく、弱点を知って逃げられる場所を選ぶ

日本で自然災害リスクを完全にゼロにするのは現実的ではありません。大切なのは、自分が避けたいリスクを明確にし、複数の弱点が同じ住所へ重なりすぎないようにすることです。

さらに、ハザード区域外なら何が起きても安全という意味でもありません。公的地図には未整備の情報や想定を超える現象の可能性もあります。地図は「安全証明書」ではなく、判断材料です。

Life Fit Japanで災害を見るなら、県を丸ごと赤や緑に塗るより、駅や生活圏まで降りて「この候補地は何に弱いか」を示すほうが暮らしの判断に役立ちます。

どう検証した?

国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」で、住所単位に洪水・内水、土砂災害、高潮、津波などを別レイヤーとして確認できる設計を確認しました。地震は防災科学技術研究所J-SHIS「地震ハザードカルテ」2024年基準から東京都内3地点の約250mメッシュを例示しました。異なる災害を恣意的に一つの総合点へ合算して県順位を作ることはしていません。

使ったデータ

判定:「日本一災害が少ない県」は単一の公的尺度では決められません。災害種別を分け、候補住所まで降りて弱点の重なりを確認します。

安全な県を探すより、候補地の弱点を知る。

まず家賃・交通・医療などの暮らしの条件で候補地を絞り、災害リスクは公的ハザードマップで住所ごとに確認しましょう。

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