人口が減る街は住まないほうがいい?
2050年推計で考える
人口が減る街を全部避けると、日本では候補がほとんど残りません。 大事なのは減るかどうかだけではなく、駅、病院、スーパーなど生活機能がどこに残るかです。
市全体の人口より、住む生活圏の持続性を見ます。
市区町村の約6割は、3割以上減る見込み
「人口減少=即ダメ」ではない。でも変化の大きさは無視できません。
国立社会保障・人口問題研究所。1,728市区町村を2020年人口=100として分類。
ほとんどの市区町村で、2050年は人口減少見込み
国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計では、2020年を100とした2050年人口指数が100以上となる市区町村は77、4.5%です。
100以上:77市区町村(4.5%)
70以上100未満:605(35.0%)
50以上70未満:705(40.8%)
50未満:341(19.7%)
つまり1,728市区町村のうち1,651、95.5%は人口減少見込み。さらに1,046市区町村、約6割は2020年比で3割以上減り、341市区町村は半分未満になる推計です。
「人口が減る街を全部避ける」は、現実にはかなり無理があります。
同じ人口減少でも、5%減と40%減では意味が違う
人口減少を一括りにすると、変化の速さが消えます。2050年に95残る街と60まで減る街では、住宅需要、商圏、学校、交通、医療の維持条件が違います。
だから「減少しているか」より、「何年でどれくらい減るか」を先に見ます。短期間で大きく減る街ほど、施設統廃合や交通再編の影響を受けやすくなります。
人口減少率そのものが暮らしやすさではありません。ただ、スーパーや病院、バス路線などがどこまで維持されるかを考える出発点になります。
人口が減っても、便利な場所へ機能が集まる街もある
人口が減っても、生活機能を駅前や中心拠点へ集め、公共交通でつなげれば、日常の便利さを保てる可能性があります。
国土交通省が進める「コンパクト・プラス・ネットワーク」は、人口減少・高齢化の中でも、医療、福祉、商業などを拠点に集約し、その周辺や公共交通沿線に居住を誘導する考え方です。
つまり将来性を見るなら、「市全体で人口が減るか」だけでなく、自治体がどこを残そうとしているかを見る必要があります。
その動きはすでに全国で進んでいる
国土交通省によると、2024年12月31日時点で891都市が立地適正化計画に具体的に取り組み、そのうち599都市が計画を作成・公表しています。
具体的に取組中:891都市
作成・公表済:599都市
防災指針も公表済:347都市
人口減少を前提に、どこへ住居や生活機能を残すかを自治体自身が考え始めているわけです。
「人口が減るから終わり」ではなく、「減る中でどこを残そうとしているか」を読むほうが、街の将来像に近づきます。
見るべきは市全体より、「残る場所」に住めるか
市全体の人口が3割減っても、駅前や中心部へ医療・商業・住宅が集約されるなら、その生活圏では便利さが残ることがあります。
逆に人口減少率が比較的ゆるくても、市街地が広がったまま店や公共交通が薄くなれば、日常の移動は不便になる可能性があります。
交通:鉄道・バスの拠点が残るか
買い物:スーパーや商業が集約されるか
医療:病院・診療所が拠点に残るか
行政:立地適正化計画で重点区域になっているか
住宅:将来も売却・賃貸しやすい場所か
人口増加の街にも、別のコストはある
人口が増えている街が自動的に暮らしやすいわけでもありません。住宅需要が強ければ家賃や住宅価格が上がり、通勤混雑や保育需要が増えることがあります。
人口増加は「需要がある」という強いサインですが、それは同時に競争や価格上昇を生むこともあります。
だから「増える街は○、減る街は×」ではなく、自分が重視する家賃、交通、医療、静けさと組み合わせて見る必要があります。
長く住むなら、「2050年の市」ではなく「2050年の生活圏」を想像する
20年、30年住むつもりなら、今ある店の数だけでは足りません。高齢になって車を手放したとき、徒歩や公共交通で生活できるか。病院はどこに残りそうか。駅周辺に人口を集める方針があるか。
Life Fit Japanで将来性を見るなら、市区町村の人口推計だけで点数を決めるより、駅・生活圏まで降りて「残る側に住めるか」を見るほうが実用的です。
どう検証した?
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」から、2020年を100とした2050年人口指数別の市区町村数を確認しました。生活機能の維持については、国土交通省の「コンパクト・プラス・ネットワーク」と立地適正化計画の公表都市数を確認しています。人口推計だけから、個別施設の存続や地価を予測することはしていません。
使ったデータ
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」2020年国勢調査を基に、2050年までを市区町村別に推計。
- 同推計・報告書2050年人口指数100以上77市区町村、50未満341市区町村など。
- 国土交通省「コンパクトなまちづくりについて」人口減少・高齢化の中で医療・福祉・商業・居住を集約し、公共交通と結ぶ考え方。
- 国土交通省「立地適正化計画作成都市数の推移」2024年12月31日時点で891都市が取組中、599都市が作成・公表済み。
判定:「人口減少=住んではいけない」は支持しません。減少率と、生活機能がどの拠点に集約・維持されるかをセットで見ます。