人気の街は本当に住みやすい?
「住みたい」と「住みここち」を分ける
人気が高い街と、実際に住んで満足度が高い街は同じとは限りません。 「一度住んでみたい」と「毎日暮らしやすい」は別の感情です。ランキングの種類を分けて見ます。
人気ランキングだけで決めないほうが安全です。
「住みたい」と「住んで満足」は、かなり違う
人気をそのまま暮らしやすさへ読み替えません。
イメージや憧れを含む回答。
実際に住む人の評価。
調査母集団・設問・地域単位が違うため、順位を横並びにはしません。
同じ調査でも、1位がまったく違う
大東建託の2026年全国版では、「住みたい街(自治体)」1位は福岡市、2位那覇市、3位横浜市。4位仙台市、5位札幌市でした。
1位:福岡市
2位:那覇市
3位:横浜市
4位:仙台市
5位:札幌市
ところが、同じ会社が集計した「住みここち(自治体)」の1位は北海道東川町。2位東京都中央区、3位東京都文京区でした。
1位:北海道東川町
2位:東京都中央区
3位:東京都文京区
「住みたい」と「住んで満足」は、同じランキングになっていません。
なぜ違う? そもそも質問が違うから
「住みここち」は、今住んでいる街を「大変満足100点〜大変不満0点」で評価した平均です。実際の居住者が現在の生活を評価します。
一方「住みたい街」は、どこに住みたいかを尋ねる投票です。知名度、憧れ、観光経験、仕事、ブランド、気候イメージなども入り得ます。
「住みたい」は希望、「住みここち」は現在の満足。名前が似ていても、同じ変数ではありません。
「住みたい街」では、名前を知っている街が有利になりやすい
街を選ぶには、まずその街を知っている必要があります。全国的に知られる福岡、那覇、横浜、仙台、札幌は、候補として頭に浮かびやすい街でもあります。
逆に、実際の居住満足度が高くても、全国的な知名度が低い自治体は「住みたい街」投票では不利になり得ます。2026年の住みここち1位・東川町が、その分かりやすい例です。
つまり人気ランキングには、「暮らしやすさ」だけでなく「思い出してもらえるか」が混ざります。
首都圏の「住みたい駅」も、回答の仕組みを見る
SUUMOの2026年首都圏版では、住みたい駅1位は横浜、2位大宮、3位吉祥寺。対象は首都圏在住の20〜49歳9,000人でした。
回答者は1都4県の駅から住みたい駅を1〜3位まで選び、1位3点、2位2点、3位1点で集計します。
1位:横浜 1,657点
2位:大宮 1,041点
3位:吉祥寺 846点
回答者:9,000人
これは「誰にとって最も家賃が安いか」「病院が近いか」「災害に強いか」を採点したランキングではありません。あくまで「住んでみたい駅」の投票です。
人気には、ちゃんと理由もある
人気ランキングを無意味とする必要はありません。人気の街には、交通、店、仕事、文化、街並み、知名度など、多くの人が魅力を感じる理由があります。
横浜や福岡のように、交通や商業が充実し、実際に便利な街もあります。人気は「多数の人が何かに魅力を感じている」という有用なシグナルです。
ただし、その魅力が自分の優先順位と一致するとは限りません。飲食店の多さより静けさが欲しい人もいる。駅近より家賃と広さを優先する人もいます。
同じ街でも、人が変われば順位は逆転する
都心通勤の単身者なら、駅近と乗換回数が重い。フルリモートなら通勤より広さや静けさを重くできる。車なしなら公共交通が重要ですが、車ありなら駅距離の重みは下がります。
暑さ、雪、医療、家賃、災害、買い物。どれを重くするかで、自分にとっての順位は変わります。
家計:家賃・車・生活費
移動:通勤時間・鉄道・バス
日常:スーパー・病院・坂
気候:暑さ・雪・雨
将来:人口・交通・医療
安全:洪水・地震・土砂など
人気ランキングは、候補を見つけるところまで
人気の街を見て「そんな街もあるのか」と候補を広げる。これはとても良い使い方です。
でも、そのまま1位を自分の1位にしない。候補に入った街を、家賃、交通、医療、気候、災害など自分の条件で再評価する。この2段階にすると、ランキングに振り回されにくくなります。
Life Fit Japanがやりたいのも、世間の1位を決めることではなく、「あなたなら何位になるか」を作ることです。
どう検証した?
2026年に公表された大東建託の全国版「住みここち」と「住みたい街」を、同じ年・同じ調査主体の異なる設問として比較しました。住みここちは現在居住している街の満足度を複数年回答で集計し、住みたい街は2026年の希望先投票です。さらにSUUMO2026首都圏版で、住みたい駅ランキングの対象者と得点方法を確認しました。ランキング同士を同じ尺度だとは扱っていません。
使ったデータ
- 大東建託「街の住みここち&住みたい街ランキング2026<全国版>」住みここちと住みたい街を同じ調査主体で比較。
- 同ランキング・調査概要回答方法、対象者、集計方法。住みここち1位東川町、住みたい街1位福岡市など。
- SUUMO「住みたい街ランキング2026 首都圏版」20〜49歳9,000人、1〜3位を3・2・1点で集計。
判定:人気は候補発見には有用ですが、「自分にとっての住みやすさ」と同義ではありません。質問・回答者・評価項目を確認し、自分の生活条件で再評価します。