駅近は高い。でも本当に損?
家賃と時間で考える
駅徒歩5分は高い。徒歩20分は安い。でも、その15分を朝晩くり返すなら、家賃差だけでは比べきれません。 駅近は、毎月のお金だけでなく毎日の時間を買う選択でもあります。
時間をどれくらい重く見るかで答えは変わります。
家賃差は円、駅距離は時間。まず別々に見る
同じ「駅近プレミアム」でも、単位が違います。
1年で+12万円。
往復なら1日+20分。
時間へ勝手な時給を付けず、「お金」と「時間」を別々に比較します。
家賃が月1万円高ければ、年12万円
まず、お金だけなら単純です。駅近の家賃が月1万円高いなら年12万円、月2万円なら年24万円の上乗せです。
月+5,000円:年+6万円
月+1万円:年+12万円
月+1.5万円:年+18万円
月+2万円:年+24万円
この金額と、駅から離れることで新たに増える移動費・車費用を比べます。
「家賃1万円 vs 車」は、別記事で損益分岐まで出せる
駅遠へ移ることで新たに車が必要になるなら、家賃が月1万円安くても、車関連の追加費用が月1万円を超えれば差は消えます。
一方、すでに車を持っていて、駅近へ移っても手放さないなら、その節約は起きません。駅近の価値は世帯ごとに変わります。
車代だけなら損益分岐を出せます。でも、駅距離には「毎日使う時間」という、もう一つの差があります。
通勤・通学時間には、地域で40分以上の差がある
総務省「令和3年 社会生活基本調査」では、平日に通勤・通学した人の平均時間は神奈川県1時間40分で全国最長。東京都・千葉県1時間35分、埼玉県1時間34分でした。
一方、山形県と宮崎県は56分。神奈川との差は1日44分です。
神奈川:1時間40分
東京・千葉:1時間35分
埼玉:1時間34分
全国:1時間19分
山形・宮崎:56分
これは「駅近に住めば44分短くなる」というデータではありません。都道府県平均です。ただ、通勤・通学に毎日まとまった時間を使っている人が多いことは分かります。
徒歩15分の差は、1日往復で30分
たとえば同じ路線で、駅徒歩5分と20分の物件を比べるとします。駅までの差は片道15分。駅を往復する日なら30分です。
ここにバス待ち、雨の日の迂回、駐輪場、送迎が入ることもあります。逆に自転車で短縮できる人もいます。
5分差:往復10分
10分差:往復20分
15分差:往復30分
20分差:往復40分
駅近の家賃上乗せは毎月払いますが、駅までの時間差も、出勤や外出のたびに払います。
ただし「1時間=時給○円」とは勝手に換算しない
移動時間を時給で金額換算すると分かりやすく見えます。でも、通勤時間は必ずしも残業代や仕事時間に置き換わるわけではありません。
電車で読書できる人もいれば、混雑で疲れる人もいる。徒歩15分を運動として歓迎する人もいれば、雨の日は苦痛な人もいます。
だからLife Fit Japanでは、時間を無理に円へ変換するより、お金と時間を別々に表示するほうがよいと考えます。
駅近が強い人、駅遠でも困らない人
駅近が効きやすい:週5で電車通勤、車なし、帰宅が遅い、雨や暑さが苦手、スーパーや病院も駅周辺で済ませる人。
駅距離の重みが低い:フルリモート、車通勤、駅を週1回しか使わない、駅遠でもスーパーや病院が徒歩圏にある人。
「駅近は正義」ではありません。駅を何回使うかで、駅距離の価値は大きく変わります。
駅だけでなく、スーパーや病院までの徒歩も見る
駅徒歩5分でもスーパーが20分、病院が25分なら、日常の移動は短くありません。反対に駅徒歩15分でも、スーパー、ドラッグストア、病院が家の周りにあれば、休日はほとんど歩かずに済むことがあります。
住まい選びで本当に見たいのは「駅徒歩○分」だけではなく、仕事・買い物・通院を合わせた総移動時間です。
だから駅圏分析では、駅距離と家賃だけでなく、店、医療、坂、交通本数まで重ねる意味があります。
どう検証した?
家賃差は月額を年額へ換算し、車費用については関連記事と同様に「駅遠になることで新たに増える費用」と比較する考え方を採用しました。時間については総務省「令和3年 社会生活基本調査」の都道府県別・平日通勤通学時間を参考にしています。都道府県平均から個々の駅近効果を推定せず、駅徒歩の差は具体例として単純に往復換算しています。
使ったデータ
- 総務省統計局「令和3年 社会生活基本調査 結果の概要」都道府県別の平日通勤・通学時間。神奈川1時間40分、山形・宮崎56分など。
- 自動車検査登録情報協会「自家用乗用車の世帯当たり普及台数 2025年」駅・公共交通が強い大都市圏で車保有が少ない傾向を確認。
- Life Fit Japan「家賃が1万円安くても、車が必要なら得なのか?」家賃差と追加車費用の損益分岐を詳しく検証。
判定:駅近の家賃上乗せは、車・交通費と時間の短縮で回収できる場合があります。お金と時間を無理に一つの点数へせず、利用頻度に合わせて別々に比較します。