LIFE FIT DATA 23 / 健康・移動

車社会の県ほど太りやすい?
車の多さとBMIを比べてみる

車でどこへでも行く地域は、歩く時間が減って太りやすそうです。 でも47都道府県を全部並べると、車の多さとBMIは意外なほどきれいには並びません。

公開日:2026年9月19日 更新日:2026年9月26日
まず、ここだけ車社会だから太る、と県単位では言えません。

食事、年齢、運動、仕事など他の条件も大きく効きます。

結論県平均では、車の多さとBMIの関係はかなり弱めでした。相関は男性+0.13、女性+0.18。「車社会の県ほど太る」と言えるほどの差ではありません。
47都道府県の相関

車が多い県ほど太る、とはほとんど並ばない

歩数との関係より、BMIとの関係はずっと弱くなります。

男性
+0.13
女性
+0.18

2025年の世帯当たり自家用車台数 × 2024年の年齢調整済みBMI。県平均の単純相関です。

車の持ち方には、4倍以上の地域差がある

自動車検査登録情報協会の2025年3月末データでは、自家用乗用車の世帯当たり普及台数は全国1.009台でした。

2025年 自家用乗用車・世帯当たり

福井:1.670台
山形:1.617台
富山:1.616台
群馬:1.558台
全国:1.009台
東京:0.405台

福井と東京では約4.1倍。少なくとも「車への依存のしやすさ」に大きな地域差があることは分かります。

BMIにも地域差はある。でも同じ順番にはならない

厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」の年齢調整済みBMIは、男性全国23.9、女性22.3でした。

2024年 年齢調整済みBMI

岩手:男性24.9 / 女性23.0
徳島:24.9 / 22.4
沖縄:24.8 / 23.3
福井:24.0 / 22.4
東京:23.6 / 22.7
全国:23.9 / 22.3

車保有1位の福井男性は24.0で全国23.9とほぼ同じ。一方、沖縄は車保有1.286台で24位ですが、男性BMIは24.8と高めです。車台数とBMI順位はきれいには重なりません。

47都道府県で計算すると、男性+0.13・女性+0.18

世帯当たり自家用乗用車台数と年齢調整済みBMIを47都道府県で対応させ、Pearsonの相関係数を計算しました。

車保有台数 × BMI

男性:r = +0.13
女性:r = +0.18
対象:47都道府県

方向はわずかにプラスですが、強い関係ではありません。順位で比べるSpearman相関でも男性+0.10、女性+0.16でした。

「ありそう」と「データで強く見える」は別

車中心の生活が歩行を減らす可能性はあります。ただ、県単位の車保有台数だけではBMI差をほとんど説明できません。

車を持っていることと、毎日よく乗ることは別

世帯に車が2台あっても、毎日歩いて通勤する人はいます。逆に車1台でも、仕事・買い物・通院のほぼ全てを車で移動する世帯があります。

肥満との関係を見たいなら、本当は「何台持っているか」より、移動の何%を車で行い、1日何歩歩いているかのほうが問いに近い指標です。

県の車保有台数は、交通構造を知る入口にはなりますが、個人の身体活動量ではありません。

歩数も入れると、話はさらに単純ではなくなる

2024年の20〜64歳・年齢調整済み歩数は、全国男性8,564歩、女性7,291歩。東京都男性は9,005歩、神奈川県男性9,354歩など、大都市圏で全国平均を上回る例があります。

一方、車社会の宮城県男性も9,407歩と多い。交通手段だけでなく、仕事中の活動、駅までの徒歩、買い物、運動習慣などが年間歩数に混ざります。

「鉄道都市だから歩く」「車社会だから歩かない」も、47都道府県を一行で説明するには粗すぎます。

BMIには、食事や年齢以外にもいろいろ混ざる

BMIは移動手段だけで決まりません。摂取エネルギー、食事内容、飲酒、職業、睡眠、運動、所得など多くの条件があります。

しかも都道府県別BMIの標本数は地域によって小さく、95%信頼区間に幅があります。たとえば高知県男性24.9の95%信頼区間は23.7〜26.1。順位を0.1単位で競わせる読み方には向きません。

今回の+0.13、+0.18も地域平均どうしの記述的な相関で、車が体重を増やす因果効果を示した数字ではありません。

住むなら「車社会か」より、歩いて用事が済むか

健康面まで考えるなら、県の車保有台数より、実際の家から駅、スーパー、病院、公園へ歩けるかを見るほうが暮らしに近づきます。

車を持っていても、駅前に住んで日常の買い物は徒歩で済ませる。逆に車を持っていなくても、在宅勤務でほとんど外へ出ない。どちらもあり得ます。

「車を持つか」ではなく、「車なしでも日常の用事ができるか」「自然に歩く動線があるか」。生活圏を見る意味はここにもあります。

どう計算した?

自動車検査登録情報協会の2025年3月末・47都道府県別自家用乗用車世帯当たり普及台数と、厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」第66表の男女別・年齢調整済みBMIを対応させ、Life Fit JapanがPearson相関とSpearman順位相関を計算しました。車は2025年、BMIは2024年で基準年が1年ずれ、世帯指標と個人調査を地域平均で結んだ分析です。

使ったデータ

判定:車保有台数とBMIには弱い正相関しか見られず、「車社会の県ほど太る」という県レベルの単純説は支持しません。保有台数ではなく実際の移動手段・歩数を別に見る必要があります。

車を何台持つ県かより、歩いて暮らせるか。

駅、買い物、坂、交通。毎日の移動を生活圏まで下げて比べます。

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