都会の人ほどよく歩く?
車と歩数の関係を検証
「都会は運動不足」とは限りません。 駅まで歩き、乗り換え、買い物も徒歩。47都道府県の歩数と車の保有台数を重ねると、車が少ない地域ほど歩く傾向が見えてきます。
ただし相関だけで因果関係までは決められません。
車が少ない地域ほど、歩数は増える傾向
特に女性では、中程度の負の相関が見えます。
2025年の世帯当たり自家用車台数 × 2024年の年齢調整済み歩数。車が原因と断定するものではありません。
東京・神奈川・大阪は、全国平均より歩く
厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」の20〜64歳・年齢調整値では、全国平均は男性8,564歩、女性7,291歩でした。
全国:男性8,564歩 / 女性7,291歩
東京:9,005歩 / 7,375歩
神奈川:9,354歩 / 8,861歩
大阪:8,864歩 / 7,699歩
少なくとも「都会は便利だから歩かない」という単純な見方には合いません。
車の保有台数は、福井1.670台・東京0.405台
2025年3月末の自家用乗用車は全国1世帯あたり1.009台。福井1.670台、山形1.617台、富山1.616台に対し、東京0.405台、大阪0.611台、神奈川0.664台でした。
福井:1.670台
山形:1.617台
富山:1.616台
全国:1.009台
神奈川:0.664台
大阪:0.611台
東京:0.405台
大都市圏では車を持たない世帯が多く、地方では1世帯1台を超える県が多い。移動の仕組みそのものが違います。
47都道府県で重ねると、車が多いほど歩数は少なめ
世帯当たり自家用車台数と男女別の年齢調整済み歩数を47都道府県で対応させ、Pearsonの相関係数を計算しました。
男性:r = -0.33
女性:r = -0.54
対象:47都道府県
女性では比較的はっきりした負の相関、男性でも弱〜中程度の負の相関です。順位で比べるSpearman相関は男性-0.23、女性-0.47でした。
同じ車保有台数をBMIと比べた相関は男性+0.13、女性+0.18でした。車社会は歩く量とは関係しそうでも、体格まで一直線にはつながりません。
ただし「車があるから歩かない」と原因までは決められない
車が多い県は、住宅や職場が広く分散し、駅や店まで距離がある場合があります。つまり「車があるから歩かない」だけでなく、「歩いて済まない街だから車が多い」という逆向きもあり得ます。
さらに仕事中の活動量、通勤方法、天候、年齢、運動習慣も歩数に影響します。県平均の相関から、個人の因果関係は決められません。
ただし、都市構造と日常歩行が無関係ではなさそうだ、という材料にはなります。
男性では、宮城や徳島のような例もある
2024年の男性歩数は徳島県9,570歩、埼玉県9,437歩、宮城県9,407歩、神奈川県9,354歩などが高い側でした。
宮城県の車保有は1.234台で全国1.009台より多く、徳島も1.337台。車保有が多くても歩数が多い県はあります。
この例外があるからこそ、「車台数だけで歩数を決める」のではなく、通勤や仕事、駅の使い方まで見る必要があります。
女性の歩数は地域差がさらに大きい
女性では神奈川県8,861歩が全国7,291歩を大きく上回る一方、秋田県は5,234歩でした。
ただし、都道府県別調査は標本数が大きくありません。神奈川女性8,861歩の95%信頼区間は7,357〜10,366歩と幅があります。順位を数十歩単位で競うような読み方はできません。
相関を見るときも、個々の県の順位より全体の傾向として読むほうが適切です。
県の歩数より、「歩いて用事が済むか」を見る
歩数が多いこと自体が、必ず暮らしやすいわけではありません。駅まで遠くて毎日無理に歩くのと、スーパーや病院が近く、自然に歩けるのでは意味が違います。
住まいから駅、スーパー、病院、公園まで徒歩で届くか。坂はきつくないか。歩道は安全か。雨の日でもバスが使えるか。
Life Fit Japanで見るべきなのは「歩かされる街」ではなく、「歩いて済ませられる生活圏」です。
どう計算した?
厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」第69表の20〜64歳・男女別・年齢調整済み1日歩数と、自動車検査登録情報協会の2025年3月末・世帯当たり自家用乗用車台数を47都道府県で対応させ、Life Fit JapanがPearson相関とSpearman順位相関を計算しました。歩数は2024年、車保有は2025年で年が1年ずれ、個人の車利用量を測った分析ではありません。
使ったデータ
- 厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査報告」第69表。20〜64歳の都道府県別・男女別・年齢調整済み歩数。
- 厚生労働省「第4部 都道府県別結果」歩数の平均値、標本数、95%信頼区間。
- 自動車検査登録情報協会「令和7年 自家用乗用車の世帯当たり普及台数」47都道府県の世帯当たり普及台数。
判定:車保有が多い地域ほど歩数が少ない傾向は確認できます。ただし、「都会だから歩く」「車が歩数を減らす」という因果を県平均だけからは決めません。