LIFE FIT DATA 30 / 健康・医療

健診を受ける県ほど健康?
受診率と平均寿命で見てみる

健診を受ける人が多い地域ほど、長生きしやすいのでしょうか。 データを重ねると、少し同じ方向は向いています。でも「健診を受ければ寿命が延びる」とまでは言えません。

公開日:2026年9月19日 更新日:2026年9月26日
まず、ここだけ健診は大事。でも、県の受診率だけで健康度は決まりません。

生活習慣や所得、年齢構成なども一緒に効いています。

結論47都道府県の相関は、男性+0.38、女性+0.25。健診率が高い県ほど寿命もやや長い傾向があります。ただし「健診を増やせば寿命が延びる」と原因までは言えません。
47都道府県の相関

健診率と寿命は、少しだけ同じ方向

ただし、医療・所得など他の条件も同時に動きます。

男性
+0.38
女性
+0.25

2020年の特定健診受診率 × 2020年平均寿命。県平均の単純相関です。

受診率は、山形64.4%から北海道43.3%まで開く

2020年度の特定健康診査は、40〜74歳の医療保険加入者が対象です。全国では約5,420万人が対象となり、約2,890万人が受診。実施率は53.4%でした。

都道府県別では山形県64.4%、東京都63.4%、富山県60.8%などが高く、北海道43.3%、和歌山県45.2%、長崎県46.1%などが低くなっています。

2020年度 特定健診実施率

山形:64.4%
東京:63.4%
富山:60.8%
宮城:59.0%
長崎:46.1%
和歌山:45.2%
北海道:43.3%

平均寿命と重ねると、少し同じ方向を向く

厚生労働省の2020年都道府県別生命表と対応させて、47都道府県のPearson相関係数を計算しました。

特定健診実施率 × 2020年平均寿命

男性:r = +0.38
女性:r = +0.25
対象:47都道府県(n=47)

男性では弱〜中程度、女性では弱い正相関です。「まったく関係がない」と切るより、受診率の高い県ほど平均寿命もやや長い傾向がある、と読むほうがデータに忠実です。

ただし、たとえば奈良県は健診実施率46.4%と低めでも、男性82.40年、女性87.95年と平均寿命は長い側です。受診率ひとつで寿命順位は決まりません。

健診率は「健康意識」だけで決まらない

2020年度の全国集計を見ると、保険者の種類によって特定健診実施率は大きく違います。市町村国保は33.7%、全国健康保険協会は52.3%、健康保険組合は77.9%、共済組合は79.2%でした。

2020年度 保険者別の実施率

市町村国保:33.7%
全国健康保険協会:52.3%
健康保険組合:77.9%
共済組合:79.2%

つまり、会社員や公務員が多いか、市町村国保の加入者が多いかでも県の数字は動きます。職場で受診の機会が用意されている人と、自分で予約する人を同じ「健康意識」として扱うのは乱暴です。

しかも2020年度は、コロナ禍で受診率が落ちた

全国の特定健診実施率は2019年度55.6%から2020年度53.4%へ2.2ポイント低下しました。厚生労働省の資料では、2020年度はすべての保険者種類で前年より実施率が下がっています。

この年の県差には、健康行動だけでなく、感染拡大や医療機関の受け入れ、受診控えなどの影響も入り得ます。2020年だけを見て「この県民は健診好き」と性格づけるのは危険です。

相関は見えた。でも原因はまだ分からない

健診が早期発見や生活改善につながる可能性と、「健診実施率の高い県ほど平均寿命が長い」という地域相関は別問題です。今回の計算だけでは因果の向きは決められません。

県の相関が弱くても、健診の価値とは別の話

この記事は「健診に意味がない」という話ではありません。生活習慣病リスクを確認し、必要なら医療や保健指導につなげる仕組みとして健診は重要です。

一方で、住む街の健康度を比べるなら、健診受診率だけでなく、平均寿命、健康寿命、喫煙、運動、医療へのアクセスなどを分けて見たほうがよい。ひとつの制度利用率を、そのまま「健康な県ランキング」にするのは情報を削りすぎます。

どう計算した?

厚生労働省が公表した2020年度の都道府県別特定健康診査実施率と、「令和2年 都道府県別生命表」の男女別平均寿命を47都道府県で対応させ、Life Fit JapanがPearsonの相関係数を計算しました。重み付けなし、年齢構成・所得・保険者構成・喫煙等を調整していない地域単位の単純相関です。特定健診は40〜74歳が対象ですが、平均寿命は全年齢の死亡状況から作られる指標なので、母集団も一致しません。

使ったデータ

判定:健診実施率と平均寿命には弱い正相関が見られますが、受診率=健康度、あるいは健診=長寿の因果効果とはしません。対象年齢と保険者構成などが異なるためです。

健診率の高い県かより、自分が受け続けられるか。

医療、交通、家賃まで含めて、健康管理を続けやすい街かを見ます。

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