LIFE FIT DATA 31 / お金・移動

「田舎は生活費が安い」は本当?
家賃だけでは決まらない

地方へ行けば家賃は下がりやすい。でも、それだけで生活費が安くなるとは限りません。 車が必要になったり、冬の暖房代が増えたりすれば差は縮みます。毎月の家計全体で見ます。

公開日:2026年9月19日 更新日:2026年9月26日
まず、ここだけ「家賃が安い」と「暮らしが安い」は別です。

車と光熱費まで足すと、想像ほど差が出ない地域もあります。

結論地方は住居費が安くなりやすい一方、「何もかも安い」は言いすぎです。住居は東京129.8、岡山79.1と大差がありますが、光熱・水道は北海道117.8で全国最高。さらに車が必要なら、その費用も乗ります。
全国=100・2025年物価地域差指数

家賃は安い。でも、ほかまで全部安いとは限らない

住居は東京が高い一方、光熱は北海道が高い。

東京・住居129.8
北海道・光熱117.8
大阪・光熱90.6
岡山・住居79.1

さらに地方では車保有台数が多い県もあります。家賃だけで生活費全体は決まりません。

地方の強みは、まず住居に出やすい

総務省「2025年 消費者物価地域差指数」で、住居は東京都129.8に対し岡山県79.1。比率にすると約1.64倍です。

2025年 住居の地域差指数

東京:129.8
岡山:79.1
比率:約1.64倍

広い部屋や戸建てを求める人にとって、地方の住宅コストはかなり大きな魅力になり得ます。ここは「田舎は安い」の中で、比較的当たりやすい部分です。

総合物価の差は、家賃ほど大きくない

同じ2025年の総合指数では、最も高い東京都104.2、最も低い群馬県96.2。比率は約1.08倍です。

2025年 総合物価

東京:104.2
群馬:96.2
比率:約1.08倍

住居では大差があるのに、総合では差が小さくなります。食料、光熱、水道などが同じ方向に安いわけではないからです。

寒い地方では、光熱費が逆に高いこともある

光熱・水道の地域差指数は、北海道117.8が全国で最も高く、大阪府90.6が最も低い水準でした。約1.30倍の差です。

2025年 光熱・水道

北海道:117.8
大阪:90.6
比率:約1.30倍

家賃が安くても、冬の暖房を長く使う地域では光熱費が増えます。「地方だから光熱費も安い」とは限りません。

地方暮らしで効きやすいのが、車

2025年3月末の自家用乗用車は、全国1世帯あたり1.009台。福井1.670台、富山1.616台、群馬1.558台に対し、東京0.405台でした。

車が多いこと自体は悪いことではありません。問題は、引っ越しによって今まで不要だった車が新たに必要になるかです。

家賃差と「追加車費用」を同じ表に置く

家賃が月1万円下がっても、車関連費が月1万円増えれば、その節約は消えます。すでに車を持っている人なら結果はまた変わります。

全国平均では、自動車等関係費は月28,355円

総務省「家計調査」の2025年平均では、二人以上世帯の自動車等関係費は月28,355円でした。

2025年 二人以上世帯・全国平均

自動車等関係費:28,355円 / 月
12か月換算:340,260円

ただし、これは「地方で車を1台持つと年34万円」という意味ではありません。車を持たない世帯も含み、自動車購入費も入る全国平均です。

ここから言えるのは、車関連費が家賃差を打ち消し得る規模の支出である、という程度です。実際の比較では自分の追加費用を計算します。

食料も「地方なら安い」ではない

2025年の食料指数は、沖縄県106.6が最も高く、長野県95.0が最も低い水準でした。

大都市か地方かだけでは並びません。物流、地域の商品構成、価格などが混ざるためです。

「家賃は地方」「食料も地方」「光熱費も地方」という一本線で家計は決まりません。

地方移住で本当に安くなる人

安くなりやすい:住居費が大きく下がり、車を増やさず、冷暖房負担も大きく変わらない人。

差が縮みやすい:車を新規購入する、2台持ちになる、長距離通勤になる、寒冷地で暖房負担が増える人。

同じ地方移住でも、生活の形で手残りは変わります。

「田舎」ではなく、候補生活圏の月額を出す

地方移住を検討するときは、東京対地方のイメージ比較ではなく、具体的な候補地で数字を置きます。

比較する月額

住居:家賃・住宅費
移動:車・公共交通・通勤
光熱:電気・ガス・灯油など
日常:食料・日用品
時間:通勤・買い物・通院

ここまで出すと、「家賃3万円安いけど車2台が必要」「家賃1万円高いけど駅前で車不要」といった比較ができます。

Life Fit Japanが生活圏まで降りる理由もここです。県平均より、実際に住む場所の家賃と移動を組み合わせたほうが、家計に近い答えになります。

どう検証した?

価格水準は総務省「小売物価統計調査(構造編)2025年」、車保有は自動車検査登録情報協会の2025年3月末データ、自動車関係の家計支出は総務省「家計調査 2025年平均(二人以上の世帯)」を参照しました。物価指数、車保有、家計支出は統計の対象が異なるため、一つの「地方生活費指数」へ合算してはいません。

使ったデータ

判定:地方では住居費が下がりやすい一方、生活費全体が必ず安くなるとは限りません。車・光熱・移動を含む自分の家計で比較します。

「田舎は安い」より、この街で月いくらか。

家賃、車、交通まで入れると、本当に安いかが見えてきます。

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