東京は本当に
「住むだけでお金が消える」?
東京は高い。ここは無理に否定しなくていいと思います。 ただ、「何もかも高い」で終わると少し大ざっぱ。家賃は重い。でも車を持たずに済みやすい。家計のどこが重いのかを分けて見ます。
一方で、車を持たずに済む人なら移動費の考え方は変わります。
東京の高さは、まず家賃に出る
全国=100。総合指数より、住居の地域差が大きい。
「東京は全部高い」ではなく、どの費目が高いかを分けて見ます。
東京の総合物価は全国平均より4.2%高い
総務省「2025年 消費者物価地域差指数」は、全国平均を100として地域の価格水準を比べたものです。総合では東京都104.2が最も高く、群馬県96.2が最も低い水準でした。
東京:104.2
全国:100
群馬:96.2
東京 ÷ 群馬:約1.08倍
東京が高いのは事実ですが、総合指数だけなら「何もかも3割高い」という数字ではありません。
ただし住居は129.8。ここで差が跳ねる
費目別に見ると、東京の弱点がはっきりします。住居は129.8。最も低い岡山県79.1と比べると約1.64倍です。
東京:129.8
岡山:79.1
比率:約1.64倍
東京の「高い」は、特に住む場所を確保するコストで強く出ています。家賃や住宅価格を無視して「食費が少し高い街」と捉えるのは違います。
その代わり、車なしで暮らしやすい
2025年3月末の自家用乗用車は、全国1世帯あたり1.009台に対して東京都0.405台。全国の4割ほどです。
全国:1.009台
東京:0.405台
神奈川:0.664台
大阪:0.611台
これは「東京なら車代ゼロ」を意味しません。ただ、車を持たずに生活する世帯が多いことは、家計を考えるうえで無視できません。
通勤・通学では「車8.8%、鉄道48.0%」
2020年国勢調査で、東京都の通勤・通学者のうち「自家用車のみ」は8.8%。一方、「鉄道・電車のみ」は48.0%でした。
全国では自家用車のみ48.2%、鉄道・電車のみ17.6%です。東京は移動の構造そのものが全国平均とかなり違います。
東京・自家用車のみ:8.8%
東京・鉄道のみ:48.0%
全国・自家用車のみ:48.2%
全国・鉄道のみ:17.6%
東京の高い住居費と、車を持たずに済む可能性を同じ家計に置く必要があります。どちらが勝つかは世帯ごとに違います。
東京が高いかは、自分の暮らし方でも変わる
物価指数は地域の価格水準です。実際に毎月いくら使うかは、何をどれだけ買うかで変わります。
駅近の狭い部屋に住んで車を持たない人と、広い部屋を借りて車も所有する人では同じ東京でも家計が違います。会社の住宅手当や通勤手当の有無でも変わります。
「東京だから高い」で終えるより、住居、車、通勤、食費を自分の支出構成で並べるほうが実用的です。
東京の高さが刺さりやすい人、刺さりにくい人
刺さりやすい:広い部屋が必要、住宅手当がない、都心近くに住む必要がある、車も持ちたい。こういう条件では住居費の高さが強く効きます。
刺さりにくい:小さめの住まいでよい、車を持たない、通勤先が東京、会社の住宅・交通補助がある。こうした条件なら、高い家賃の一部を別の費用削減で吸収できる場合があります。
東京が高いか安いかというより、「東京の高い項目を自分がどれだけ使うか」が分かれ目です。
街選びでは、東京と地方を同じ家計表で比べる
東京の家賃8万円と地方の家賃6万円だけを比べるのではなく、地方で車が必要ならその追加費用を足す。東京で通勤時間が短くなるなら時間も別に見る。
反対に地方でも駅近に住み車を持たずに済むなら、東京の優位は小さくなります。
県のイメージではなく、「この住所でこの生活をしたら月いくらかかるか」に戻す。それがいちばん公平です。
どう検証した?
価格水準は総務省「小売物価統計調査(構造編)2025年」の消費者物価地域差指数、車保有は自動車検査登録情報協会の2025年3月末データ、通勤・通学手段は2020年国勢調査を使いました。これらは対象年や統計単位が異なるため、東京の「総生活費」を一つの比率に合算してはいません。
使ったデータ
- 総務省統計局「小売物価統計調査(構造編)2025年」東京の総合104.2、住居129.8など。
- 自動車検査登録情報協会「自家用乗用車の世帯当たり普及台数 2025年」全国1.009台、東京0.405台。
- 総務省統計局「令和2年 国勢調査 利用交通手段」東京の自家用車のみ8.8%、鉄道・電車のみ48.0%。
判定:「東京は高い」は支持されます。ただし特に住居費が重く、車・交通など別の支出は全国と構造が違います。総額は世帯条件で計算します。