ラーメン好きな街は高血圧が多い?
塩分と支出を分ける
ラーメンは塩分が多い。なら、ラーメン好きな街ほど高血圧も多そうです。 ただ、家計調査の「ラーメン支出」と、人の血圧はまったく別の数字。そこを混ぜると話が飛びます。
食べた量と払った金額は同じではありません。
山形市は年25,102円。2位新潟より6,000円以上多い
ラーメンに使うお金の多さは本物。ただし、何杯食べたかまでは分かりません。
総務省「家計調査」をもとに山形市公表。二人以上世帯の年間支出額。
山形は、本当にラーメンにお金を使っている
総務省「家計調査」をもとに山形市が公表した2025年の「中華そば(外食)」支出額は、二人以上世帯1世帯あたり年間25,102円で全国1位でした。
1位 山形市:25,102円
2位 新潟市:19,073円
3位 宇都宮市:17,211円
さらに2023〜2025年の3年平均でも、山形市は全国1位。ラーメン文化が家計に表れていること自体はかなり確かです。
ただ、25,102円から「何杯食べたか」は分からない
支出額には、1杯の価格、家族人数、外食頻度が混ざります。1杯1,000円と800円では、同じ2万円でも杯数が違います。
さらに家計調査の地域ランキングは、山形県全体ではなく山形市の二人以上世帯です。単身世帯や県内の他市町村を含む「山形県民平均」ではありません。
山形市の二人以上世帯が、外食の中華そばにいくら払ったか。県民全体の杯数や食塩摂取量ではありません。
高血圧ランキングと並べても、答えは出ない
高血圧が多い地域を比べるなら、年齢構成をそろえた血圧測定値や有病率が欲しいところです。
患者調査の受療率には、実際の疾病リスクだけでなく、健診で見つかるか、病院へ行くか、医療機関が近いかも混ざります。
山形市のラーメン支出と、山形県の高血圧データを横に並べても、同じ人たちを比べたことにはなりません。数字の対象が違うからです。
それでも、スープの塩分は気になる
厚生労働省のe-ヘルスネットは、高血圧予防に食塩摂取量の制限が重要だと説明しています。
その具体例として、ラーメンなど麺類の汁を全部飲むと、それだけで食塩を6g近く取る場合があるとしています。
麺類の汁を全部飲む例:約6g近く
成人男性の目標:7.5g/日未満
成人女性の目標:6.5g/日未満
スープまで飲み切ると、一食だけで1日の目標量にかなり近づくことがあります。
「山形だから」より、「自分がどう食べるか」
ラーメンをよく食べる街が高血圧県だと証明できなくても、塩分の多い食事を頻繁に取る個人が血圧へ注意する意味はあります。
逆に、高血圧が多い県があっても、それを「ラーメンのせい」と決めることはできません。食塩は味噌、漬物、加工食品、惣菜、外食など多くの食品から入るからです。
地域のランキングが証明できないことと、塩分を気にしなくていいことは別です。自分がどのくらい食べ、どのくらいスープを飲むかのほうが、健康の話では重要です。
同じ一杯でも、スープを残すかで変わる
同じ一杯でも、スープを全部飲むか残すか、トッピングや量、食べる頻度で食塩・エネルギー摂取は変わります。
「ラーメン好き=不健康」と人へラベルを貼るより、週に何回、どのくらいの汁を飲み、他の食事でどう調整しているかを見るほうが健康の問いに近くなります。
ラーメン文化は街の魅力。健康とは別に見る
山形、新潟などのラーメン文化は、地域の日常を知るデータとして面白いものです。
ただし、ラーメン支出1位を「高血圧リスク1位」のように扱うと、統計の意味が変わってしまいます。
ラーメン店が多い、地元でよく食べられている。それは街の個性として面白い情報です。ただし「だから健康に悪い街」とは結びません。
どう検証した?
総務省「家計調査」の中華そば(外食)支出と、山形市の公表値を確認しました。健康側は厚生労働省の患者調査・国民健康栄養調査の性質を確認し、市の支出額と県の高血圧指標を直接相関させていません。ラーメンの食塩については、厚生労働省e-ヘルスネットの高血圧予防情報を参照しました。
使ったデータ
- 総務省統計局「家計調査 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング」中華そば(外食)の都市別家計支出。
- 山形市「ラーメン消費額日本一」2025年の中華そば(外食)支出。山形25,102円、新潟19,073円、宇都宮17,211円。
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」減塩の重要性、麺類の汁を全部飲んだ場合の食塩量の例。
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」食塩相当量の成人目標。
判定:ラーメン支出と高血圧の地域相関は、地域単位・指標の意味がそろわないため作りません。一方、塩分の多い麺類を頻繁に食べる個人の減塩対策は別の健康課題です。